オーディオアンプとシミュレーション

主にLTSpiceを使ったオーディオのシミュレーションについて書きます。



準コンプリメンタリー出力段

はじめに

 同極性SEPPといえば準コンです。好き好んで使う人もあまりいないと思いますが、将来コンプリパワー素子が入手できなくなることを危惧して、今のうちに使い物になるかどうかチェックしておきます。

シミュレーション

 こんな回路です。

シミュレーション回路
シミュレーション回路

 アイドリングは1A。流儀はいろいろあると思いますが、今回はインバーテッドダーリントンでゲインを稼いでいません。なので対称性の高い動作(ただし性能は低い。事実上ダーリントンと同じ)になっているはずです。

AC特性
AC特性

 500MHzくらいで良からぬことが起きている気もしますが、深追いしません。

上下の電流
上下の電流

 対称性はまあ合格です。コンプリSEPPでもこれより悪いのはざらにあります。

 約1Wで歪みを見ます。

出力FFT
出力FFT

 意外というか、コンプリSEPPよりあきらかに偶数次歪みを抑制できています。準コン悪くないですね。

 AB級動作でカットオフしたときのFFT(最大値16V(交流電圧とは異なります)入力・4Ω負荷)。

出力FFT(AB級)
出力FFT(AB級)

 こちらもちゃんと偶数次歪みを抑圧しています。

まとめ

 意外ですが、好き好んで使ってもいいのでは? というくらいの好結果を残しました。コンプリに起因する非対称性をある程度軽減できます。

 あとは将来に渡ってコンプリのドライバがあるかどうかですね。こちらはこちらで楽観できないのですが・・・