オーディオアンプとシミュレーション

主にLTSpiceを使ったオーディオのシミュレーションについて書きます。



2019-01-01から1ヶ月間の記事一覧

ステップ補償採用型パワーアンプ

はじめに ここ一週間くらい、デリケートな初段の負荷を軽くしてトータルの性能を稼ぐというコンセプトのアンプについて検討を続けてきたのですが、3段増幅では確かにシミュレーション上は良さそうなものの、現実に実装するのはとても大変そう、という現実に…

3段電圧増幅パワーアンプ

概要 以前の記事ではちょっとAC特性が変な感じで、回路の特性もいまいちつかめなかったので再挑戦しました。www.audio-simulation.net シミュレーション まず回路を示します。設計した回路 前回からの改善点は、 初段をカスコード化したら低域の位相の謎回転…

A級シングル出力段の歪み

概要 半導体アンプでもA級シングル出力段はたまに試みられることがあります。 定電流負荷のフォロアで考えるとして、電流で見た効率はA級PPの半分になり、つまり電力効率はA級PPのたった1/4です(二乗で効いてくるので)。正気の沙汰ではないのですが、それ…

ダイトーボイス DS-16IIの音質と使いこなし

はじめに 今回は少し趣向を変えて我が家で使っているスピーカーを紹介します。 タイトルの通り、ダイトーボイスのDS-16IIです。私みたいな金欠学生には最適なスピーカーです。一発1000円強で買えました(今買えるのかどうかは不明。コイズミのサイトでは出て…

消費電流の大きな回路の電源には大容量コンデンサが必要

概要 タイトルの通り、「消費電流の大きな回路の電源には大容量コンデンサが必要」なのですが、知らない人も多いと思うのでシミュレーションでわかりやすく見てみます。シミュレーション回路 アバウトですが、正負20Vくらいの2電源の電源です。負荷抵抗を4kΩ…

カレントミラーで位相を進める

はじめに あまり使われているのを見かけませんが、電流帰還をかけたカレントミラーは電流帰還抵抗とパラにCを入れて位相を進めることができます。 位相余裕の確保に使えます。 シミュレーション シミュレーション回路 左から、ただのカレントミラー、いい感…

金田式PP(プッシュプル)レギュレータの秘密(効能)

はじめに 金田式PPレギュレータについては「アレは効くのだろうか」というもやもやした疑問がずっとあったので、シミュレーションで見てみます。 シミュレーション シミュレーション回路を以下に示します。シミュレーション回路 左が通常のシリーズレギュレ…

3段電圧増幅段回路オペアンプ

はじめに 3段増幅を試みる方はほとんどいないようです。現代の素子では2段増幅でも十分なゲインが得られること、位相補償の難しさがやはりネックになるのでしょう。 しかし、2段増幅には2段増幅の欠点があります。それは、原理的に歪みが多くNFBの効果が効き…

LTSpice上の2N3055の直線性

LTSpiceにデフォルトで入っている2N3055のモデルの直線性をDC Sweepで見てみます。なお、面倒くさいのでコレクタ電圧は固定。シミュレーション回路結果 こうして見るといろいろなことが示唆されます。 VBE-IC特性の直線性が良いのは1.5A近辺なので、電圧ドラ…

超シンプル原始6石パワーアンプ

概要 できるだけ少ない能動素子の数で、まともな特性のワイドラー型アンプを作るとしたらどうしたら良いだろう? という探究心のもと回路を書いてシミュレーションしてみました。 以下のような制約を設けます。 バイポーラトランジスタと受動素子だけ使う い…

カスコード・ブートストラップ出力段+ワイドラー

前回の記事ではフォールデッドカスコードでドライブ段なしで試しましたが、今回は通常の電圧バッファとしてオペアンプと組み合わせます。 前回の記事 www.audio-simulation.net さて、このような回路です。回路1 カスコード用のFETはドライブ段から生やしま…

カスコード・ブートストラップ出力段

カスコード・ブートストラップ出力段は力技の極みのような手法ですが、割と有望です。 効果がわかりやすいようにフォールデッドカスコードでシミュレーションします。基本的な回路 何回か似たような回路をこのブログにアップロードしたことのある、何も考え…

純A級出力段の実力

いつも実感することですが、純A級出力段は本当に優秀です。オーディオアンプの性能は出力段がボトルネックになるという説がありますが、昨今の高gm素子を用いた純A級出力段にはあてはまらないのではないかと思っています。無帰還出力段 アイドリング電流は1A…

古典・エミッタ接地+ブートストラップ

はじめに 古典の回路を試してみます。ブートストラップというテクニックです。 よく知られたものですが、エミッタ接地+フォロア型の回路で、フォロアの出力から負荷抵抗にCなどの定電圧性の素子をつなぐことで負荷抵抗を「ほぼ」定電流回路として作動させる…

インバーテッドダーリントン・BTLでクロス中和

インバーテッドダーリントンでBTLの場合、クロス中和のテクニックが使えて高周波特性を改善できます。ベース回路 パワーMOS-FETのゲート容量が大きすぎて高周波特性が伸びない回路です。 当然こうなります。周波数特性 反対側の出力とゲートを適当な容量で連…

出力段パラレル化の効果

出力段をパラレル化するのと、シングルプッシュプルでたくさんアイドリングを流すのとどちらが良いのか疑問だったので、確認してみます。シミュレーション回路(歪み測定) 左:通常方式で1A流している回路 右:0.25Aを4つパラにした回路 1kHz・1VrmsのFFTで…

B級アンプドライブA級アンプ

概要 B級アンプでカスコードの如くA級アンプをドライブする形式のアンプがあります。上条氏が研究していた回路です。これなどがそうです。www.ne.jp 狙いは、A級の低歪みさとB級の電力効率の良さを両立させることです。基本的にAB級より冴えたやり方です。た…

スーパーリニアサーキット・ヘッドホンアンプ

概要 以前の記事では高周波特性がうまく整わなくてシミュレーションできませんでしたが、なんとか仕上げました。www.audio-simulation.net 変更点 一段目の電流を出力に流すのを諦めた 電力効率的には魅力的な方法なのですが、おそらくカレントミラーの位相…

スーパーリニアサーキット・ヘッドホンアンプ出力段(のつもり)

概要 SLC(Super-Linear Circuit)を使ってヘッドホンアンプ出力段に適した回路をシミュレーションしてみます。 シミュレーション回路 以下にシミュレーションに用いた回路を示します。3回路同時にシミュレーションしている都合上、画像が大きいです。適宜拡…

スーパーリニアサーキットのシミュレーション

概説 スーパーリニアサーキットはパイオニアの開発した低歪み増幅回路です。 という説明はこのページを見るような人には必要ないですね。淡々とシミュレーションしていきます。スーパーリニアサーキット自体の解説はググると幾つかヒットするようなので、そ…