オーディオアンプとシミュレーション

主にLTSpiceを使ったオーディオのシミュレーションについて書きます。



3段電圧増幅段回路オペアンプ

はじめに

 3段増幅を試みる方はほとんどいないようです。現代の素子では2段増幅でも十分なゲインが得られること、位相補償の難しさがやはりネックになるのでしょう。

 しかし、2段増幅には2段増幅の欠点があります。それは、原理的に歪みが多くNFBの効果が効きづらい初段に、大容量の補償容量を負荷としてぶら下げざるを得ないことです。これを緩和するために初段ゲインを落とすと、今度は初段gmの直線性やノイズの面で問題が出てきがちです。

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 3段増幅では主に3段目で位相補償をすれば上記問題はすべて解決します。また、十分な余剰ゲインが得られるため、高ゲインのアンプとして成立させやすいという副次的な作用もあります(逆に全帰還して低ゲインアンプにする方が難しい)。

 電圧増幅段の高性能化を意図する場合、3段増幅は有望な方法と言えるでしょう。

シミュレーション回路

 以下のような回路でシミュレーションを行います。

回路
回路

 ゲイン10倍のオペアンプ増幅回路を想定しています。C1, C2, C3が位相補償です。

 先に断っておきますが、どうしてこれでうまくいくのかは私にもよくわかりません。C1はいわゆるリード補償という奴だと思います。C2とC3はよくわかりませんが、見かけ上位相が進みます。

 とにかく3段増幅は何もしなければ位相が回るので、ゼロを作って位相を進める工夫をしないと動きません。ノウハウも知識もないので手探りですが、この定数で一応シミュレーション上は安定して見えます。

 シミュレーション上で動いているっぽく見えるだけで、実機を作ると発振しちゃう可能性も相当あると思いますが。

AC特性
AC特性

 素晴らしい高ゲイン・広帯域。ただ、低域で180度位相が回っているように見えるのは、どういう原理なんでしょうか^^; 出力はちゃんと入力と同相で出てくるので、そんなおかしなことはないはずなんですが。

出力FFT
出力FFT

 低歪み。二次歪みで-160dBを記録しています。

まとめ

 技術的にはこの方向性で良さそうですが、実装するには知識も技術も足りません。

 とはいえ、原理的には3段増幅が最良の電圧増幅段のはずです。どこかのメーカーが出してないのかな?

続き

 続きを書きました。今度はいろいろうまくいきました。

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