オーディオアンプとシミュレーション

主にLTSpiceを使ったオーディオのシミュレーションについて書きます。



オペアンプ

シンプルな二段差動オペアンプの部品点数の検討

二段差動でシンプルに書くとこんな回路になります。二段差動 シミュレーションは面白くない結果になるので省略。ちゃんと動きます。 差動→シングルと部品点数を比べてみます。差動→シングル回路 一応同じような設計ポリシーなので、同等に比較できると仮定し…

シンプルなディスクリートオペアンプ

ディスクリートオペアンプを組もうとする場合、素子を増やしすぎると配線が地獄なので、できるだけシンプルな回路にしようと考えます。 となると、こんなのが候補にあがってきます。回路1回路2 回路1はシンプルですが、オフセットとドリフトに悩まされそうで…

二段差動で限界までゲインを搾り取る

概要 通常の二段差動回路は初段が抵抗負荷なので、初段カレントミラー負荷の構成と比べると直流ゲインで劣ります。 初段を定電流負荷にすれば、限界までゲインを絞れます。ただし、単純に定電流負荷にしても電位が安定しないので、直流帰還が必要です。これ…

オペアンプ初段と二段目の出力インピーダンス

はじめに コンベンショナルなオペアンプ増幅回路の内部の電圧増幅段の出力端子のインピーダンスが気になったので調べました。 たとえばこのようなパワーアンプを考えます。コンベンショナルな回路 方法と結果 そのままではNFBがかかっているので、うまく調べ…

カレントミラーで進相補償

はじめに 電流帰還のかかったカレントミラーでは位相を進めゲインを高めるゼロを作ることができます。 シミュレーションで検証してみます。 シミュレーション こんな感じです。シミュレーション回路 右の回路の100pFと50Ωでゼロを作ります。50Ωは必須ではあ…

オペアンプ1つで対アース出力の電流正帰還(負性インピーダンス)回路

はじめに 電流正帰還アンプは出力インピーダンスの負性インピーダンス化によってMFBを実現する方法ですが、既存の回路だと対アース出力にならない(電流検出抵抗が負荷・アース間に入る)ので何かと扱いづらい面がありました。 電流検出抵抗の両端電位をオペ…

3段電圧増幅段回路オペアンプ

はじめに 3段増幅を試みる方はほとんどいないようです。現代の素子では2段増幅でも十分なゲインが得られること、位相補償の難しさがやはりネックになるのでしょう。 しかし、2段増幅には2段増幅の欠点があります。それは、原理的に歪みが多くNFBの効果が効き…

超シンプル原始6石パワーアンプ

概要 できるだけ少ない能動素子の数で、まともな特性のワイドラー型アンプを作るとしたらどうしたら良いだろう? という探究心のもと回路を書いてシミュレーションしてみました。 以下のような制約を設けます。 バイポーラトランジスタと受動素子だけ使う い…

プリアンプやラインアンプを作るときは出力にRを入れるべき

はじめに プリアンプやラインアンプを作る場合、ボルテージフォロアやそれに類似した回路を出力段に使うケースが多いと思います。 ロー出しハイ受けの原則に従ってそのまま使う人が多いようですが、発振させたくなければ出力に直列にRを入れるべきです。フォ…

レールツーレール出力のアンプ回路

はじめに 通常、出力段にフォロアを持つタイプのアンプ回路では、電源電圧まで出力を得ることは困難です。 特に、正負2電源で動作させるような場合、レールツーレール(Rail to Rail)動作は極めて困難です。これは電圧増幅段の動作範囲で出力可能な電圧の範…

二段差動+カレントミラー合成アンプのシミュレーション

はじめに 二段差動+カレントミラー合成はとてもポピュラーな回路です。 日本の自作オーディオ界隈では金田式GOAで採用されたことや*1、LH0032の回路がこれであるということで有名です。 が、この回路に関しては長年いろいろな疑問を抱いていました。なので、…

ワイドラー型オペアンプのシミュレーション(2)

概要 前回の記事でワイドラー型オペアンプをシミュレーションしました。www.audio-simulation.net やっぱり気になったので、歪率を取ってみました。 シミュレーション C1の値を100pFに固定したこと、二段目ゲート抵抗R11を追加した以外変更点はありません。…

ワイドラー型オペアンプのシミュレーション

はじめに いわゆるワイドラー型の平凡なオペアンプをシミュレーションしてみます。なお、ここでいうワイドラー型とは、 初段:差動+カレントミラー負荷 二段目:単段エミッタ(ソース)接地+定電流負荷 終段:フォロア のような構成のアンプ回路のことです…

完全差動アンプの解説とシミュレーション

はじめに 世の中には完全差動アンプと呼ばれる回路があります。 いわゆるオペアンプの仲間なのですが、通常のオペアンプが正負の入力と1つの出力を持つのに対し、完全差動アンプは正負の入力と正負の出力を持ちます。 オーディオでいうBTLなどのバランスアン…