オーディオアンプとシミュレーション

主にLTSpiceを使ったオーディオのシミュレーションについて書きます。



カレントミラーの入出力特性

はじめに

 世の中にはカレントミラーの無歪み性に立脚したアンプもあるそうです。

 そういうアンプのことを否定するつもりはありませんが、ところでカレントミラーはどの程度の入出力特性なのでしょう?

スポンサーリンク


シミュレーション

 こんな回路を書いてみました。

高精度ウィルソン型カレントミラー
高精度ウィルソン型カレントミラー

 理想定電流で入力を与えています。まずはAC振幅位相特性を見ます。

振幅位相特性
振幅位相特性

 シミュレーション上は1A流していることに注意。60dBのレベルは正常です。しかし、これだけ見ると典型的なエミッタ接地増幅回路に見えます。

 次に、5mAのバイアスを与え、Ippが1mAの1kHzの正弦波電流を入力にしたときの負荷抵抗電圧のスペクトルをFFTで見ます。これで歪が評価できます。

歪のグラフ
歪のグラフ

 主信号:-9.5dB
 二次高調波:-102dB
 三次高調波:-127dB

 -90dB程度の二次高調波は、無歪と言えるかというと微妙です*1。とはいえ、実用的には十分でしょう。

 電流の振幅を4倍にしてみます。

電流振幅4倍とした際のグラフ
電流振幅4倍とした際のグラフ

 これも絶対的な歪率は0.01%程度で低いと思いますが、高次高調波が出てくるのはなんだかちょっと・・・無帰還エミッタ接地やAB級出力段に似ている傾向です。とはいえ、それなりの性能ですかね。

結論

 そんなに悪くはないが、無歪は言い過ぎ

*1:もっというと、シミュレーションなので現実よりは甘めに出ているはずです