オーディオアンプとシミュレーション

主にLTSpiceを使ったオーディオのシミュレーションについて書きます。



サンスイのスーパーフィードフォワード

はじめに

 以前の記事にコメントで頂いた情報をもとに、サンスイのスーパーフィードフォワードをシミュレーションしました。

 ただし、あくまでも低周波領域でのシミュレーションです。高周波については宿題とします。

www.audio-simulation.net

原理

 よくわからない・・・。

 まあ、ざっとこんな回路です。

スーパーフィードフォワードのシミュレーション回路
スーパーフィードフォワードのシミュレーション回路

 U1とU2は基本的には普通のアンプを構成していると思って構いません。U1は理想的なゲインAの差動アンプ、U2は非理想的なバッファ(出力段に相当)です。R3とR4で帰還をかけています。

 バッファのゲイン変動に対して出力が動かない、というのがスーパーフィードフォワードの真骨頂のようです。R1とR2はあとでそのことを確認するために使います。

 問題は電流アンプ(上側のU3とU4)で、これによってスーパーフィードフォワードの効果が生じているようなのですが、正直なところよくわからないというのが本音です。今後の宿題とします。

 回路中に示しているA, beta, Z, gmの積が1になる条件でスーパーフィードフォワードの効果が生まれる、ということが頂いた特許公報の資料に数式で証明してありました。それについてはそのうち追記すると思います。

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シミュレーション

 R1を変化させて出力が動かないことを確認しただけです。

R1を変化させてのシミュレーション
R1を変化させてのシミュレーション

 高周波の安定は無視していただくとして、このように出力振幅が一定になります。負帰還のせいじゃ? と思われるかもしれませんが、Aは10しかないことを思い出してください。電流アンプの出力を切ってみた場合、こうなります(単に電流アンプを出力から切り離すと電流が流れ出す先がないので、切った電流アンプ出力はGNDにでも落としてください)。

電流アンプを切った場合
電流アンプを切った場合

 ということで、これがスーパーフィードフォワードの効果です。ちなみに、ゲインはbetaの逆数になるようです。

 バッファ部のゲインに出力が左右されないということは、歪の多い出力段を無歪みにできる訳で、好ましい性質ですね(というくらいしか今の段階では言えることがありません)。

アバウトな考察

 仮にnonidealなバッファのゲインが何らかの理由(たとえば三次歪みなど)で減少したとする。出力の電位は負帰還によって概ね保たれると仮定する。

 するとバッファ入力側の電圧振幅が増大し、これは電流アンプの出力電流増加を招く。電流アンプの出力電流がどこに行くか? というと、大半はnonidealなバッファに吸い込まれていく。その過程でZに電圧が発生し、結果的に負荷に出力される電圧を嵩上げすることで、nonidealなバッファのゲインが減少したことによる出力電位の減少が補正される。

 定性的にはこのような現象が生じるはずです。「出力の電位は負帰還によって概ね保たれる」という仮定を起きましたが、これが実際にバランスする条件が「A, beta, Z, gmの積が1になる」ということ・・・なのかな?

暫定的にまとめ

 とりあえず動作することはわかりました。どうして動くのかはまだよくわかっていないので、近日中に追記します。