シミュレーション・ノート
はじめに あまり使われているのを見かけませんが、電流帰還をかけたカレントミラーは電流帰還抵抗とパラにCを入れて位相を進めることができます。 位相余裕の確保に使えます。 シミュレーション シミュレーション回路 左から、ただのカレントミラー、いい感…
はじめに 金田式PPレギュレータについては「アレは効くのだろうか」というもやもやした疑問がずっとあったので、シミュレーションで見てみます。 シミュレーション シミュレーション回路を以下に示します。シミュレーション回路 左が通常のシリーズレギュレ…
はじめに 3段増幅を試みる方はほとんどいないようです。現代の素子では2段増幅でも十分なゲインが得られること、位相補償の難しさがやはりネックになるのでしょう。 しかし、2段増幅には2段増幅の欠点があります。それは、原理的に歪みが多くNFBの効果が効き…
LTSpiceにデフォルトで入っている2N3055のモデルの直線性をDC Sweepで見てみます。なお、面倒くさいのでコレクタ電圧は固定。シミュレーション回路結果 こうして見るといろいろなことが示唆されます。 VBE-IC特性の直線性が良いのは1.5A近辺なので、電圧ドラ…
概要 できるだけ少ない能動素子の数で、まともな特性のワイドラー型アンプを作るとしたらどうしたら良いだろう? という探究心のもと回路を書いてシミュレーションしてみました。 以下のような制約を設けます。 バイポーラトランジスタと受動素子だけ使う い…
前回の記事ではフォールデッドカスコードでドライブ段なしで試しましたが、今回は通常の電圧バッファとしてオペアンプと組み合わせます。 前回の記事 www.audio-simulation.net さて、このような回路です。回路1 カスコード用のFETはドライブ段から生やしま…
カスコード・ブートストラップ出力段は力技の極みのような手法ですが、割と有望です。 効果がわかりやすいようにフォールデッドカスコードでシミュレーションします。基本的な回路 何回か似たような回路をこのブログにアップロードしたことのある、何も考え…
いつも実感することですが、純A級出力段は本当に優秀です。オーディオアンプの性能は出力段がボトルネックになるという説がありますが、昨今の高gm素子を用いた純A級出力段にはあてはまらないのではないかと思っています。無帰還出力段 アイドリング電流は1A…
はじめに 古典の回路を試してみます。ブートストラップというテクニックです。 よく知られたものですが、エミッタ接地+フォロア型の回路で、フォロアの出力から負荷抵抗にCなどの定電圧性の素子をつなぐことで負荷抵抗を「ほぼ」定電流回路として作動させる…
インバーテッドダーリントンでBTLの場合、クロス中和のテクニックが使えて高周波特性を改善できます。ベース回路 パワーMOS-FETのゲート容量が大きすぎて高周波特性が伸びない回路です。 当然こうなります。周波数特性 反対側の出力とゲートを適当な容量で連…
出力段をパラレル化するのと、シングルプッシュプルでたくさんアイドリングを流すのとどちらが良いのか疑問だったので、確認してみます。シミュレーション回路(歪み測定) 左:通常方式で1A流している回路 右:0.25Aを4つパラにした回路 1kHz・1VrmsのFFTで…
概要 B級アンプでカスコードの如くA級アンプをドライブする形式のアンプがあります。上条氏が研究していた回路です。これなどがそうです。www.ne.jp 狙いは、A級の低歪みさとB級の電力効率の良さを両立させることです。基本的にAB級より冴えたやり方です。た…
概要 以前の記事では高周波特性がうまく整わなくてシミュレーションできませんでしたが、なんとか仕上げました。www.audio-simulation.net 変更点 一段目の電流を出力に流すのを諦めた 電力効率的には魅力的な方法なのですが、おそらくカレントミラーの位相…
概要 SLC(Super-Linear Circuit)を使ってヘッドホンアンプ出力段に適した回路をシミュレーションしてみます。 シミュレーション回路 以下にシミュレーションに用いた回路を示します。3回路同時にシミュレーションしている都合上、画像が大きいです。適宜拡…
概説 スーパーリニアサーキットはパイオニアの開発した低歪み増幅回路です。 という説明はこのページを見るような人には必要ないですね。淡々とシミュレーションしていきます。スーパーリニアサーキット自体の解説はググると幾つかヒットするようなので、そ…
はじめに 以前スーパーソースフォロアについて記事を書きました。MOS-FETのインバーテッドダーリントンで、強力な局所帰還によって特に低周波側の特性を改善できる回路です。www.audio-simulation.net ただし、この回路には素直にSEPPが作れないという問題点…
概要 純然たる一石アンプでどこまでゲインが稼げるか興味があったので、計算とシミュレーションを行ってみました。 設計上の制約として、単電源であること、無信号時の出力は電源中点とすること、定格を守ることを決めます。また、使う素子は2SC1815を1つと…
はじめに プリアンプやラインアンプを作る場合、ボルテージフォロアやそれに類似した回路を出力段に使うケースが多いと思います。 ロー出しハイ受けの原則に従ってそのまま使う人が多いようですが、発振させたくなければ出力に直列にRを入れるべきです。フォ…
はじめに 以前の記事にコメントで頂いた情報をもとに、サンスイのスーパーフィードフォワードをシミュレーションしました。 ただし、あくまでも低周波領域でのシミュレーションです。高周波については宿題とします。www.audio-simulation.net 原理 よくわか…
はじめに 本邦でディスクリートのヘッドホンアンプといえば、ぺるけ氏のFET式差動ヘッドホンアンプが有名です。Headphone Amp Project これの改造案についてシミュレーションしたので、書き残しておきます。私が個人的に作るかどうか迷ってシミュレーション…
はじめに ソースフォロアのSEPPはパワーアンプの出力段としてメジャーな回路です。しかし、その素性は闇に包まれています。 と大上段に構えてみましたが、この記事では単純にソースフォロアSEPPの出力インピーダンスを動的に見てみようと思います。静的な出…
はじめに Zobelフィルタとはアンプの出力(負荷)と並列にRC直列回路を挿入するもの、アイソレータは同様に出力(負荷)と直列にRL並列回路を挿入するものです。 自作アンプでは省略されることも多いZobelフィルタとアイソレータですが、意外と馬鹿にできな…
はじめに 増幅回路のミラー効果は古典的な話題です。アンプ回路においては位相補償に使われるなど、日常的に親しみのある現象でもあります。 改めてミラー効果について確認しておこうと思います。 目次 はじめに 素の増幅回路 ミラー効果のシミュレーション …
はじめに 通常、出力段にフォロアを持つタイプのアンプ回路では、電源電圧まで出力を得ることは困難です。 特に、正負2電源で動作させるような場合、レールツーレール(Rail to Rail)動作は極めて困難です。これは電圧増幅段の動作範囲で出力可能な電圧の範…
はじめに 二段差動+カレントミラー合成はとてもポピュラーな回路です。 日本の自作オーディオ界隈では金田式GOAで採用されたことや*1、LH0032の回路がこれであるということで有名です。 が、この回路に関しては長年いろいろな疑問を抱いていました。なので、…
疑似正負電源回路・レールスプリッタ回路についてシミュレーションで考察します
まず、よくあるダーリントン型のオーディオアンプの出力段を下の図に示します。ダーリントン型出力段 さて、この回路の上側2N3055のエミッタ電流とベース電流を見てみます。エミッタ電流とベース電流 見ての通り、かなりベース電流が小さくなっています。こ…
概要 前回の記事でワイドラー型オペアンプをシミュレーションしました。www.audio-simulation.net やっぱり気になったので、歪率を取ってみました。 シミュレーション C1の値を100pFに固定したこと、二段目ゲート抵抗R11を追加した以外変更点はありません。…
はじめに いわゆるワイドラー型の平凡なオペアンプをシミュレーションしてみます。なお、ここでいうワイドラー型とは、 初段:差動+カレントミラー負荷 二段目:単段エミッタ(ソース)接地+定電流負荷 終段:フォロア のような構成のアンプ回路のことです…
はじめに たまにネットで見かけるような気もする、半導体素子1つで構成されたヘッドホンアンプのシミュレーションです。 設計 簡単に設計の手順について説明します。 まず回路のトポロジーを決定します。 一石アンプは必然的に抵抗負荷*1A級シングル動作にな…